第8話【花も嵐も】 ソロの娘さん・八幡平<東北>


もう少し東北の話をします。その後、少しづつ南下したいと考えています。しばらく東北にお付き合いを。

東北を走ると必ず北海道を目指して北上する人に出会う。皆さんの心にある東北はついでに通るだけである。魅力ある北海道を何も否定はしないけど、折角、東北を走っているんだから、ついで意識は棄て、東北の素晴らしさを味わって欲しい。

東北といえば八甲田や蔵王と並んで八幡平がある。ここで出会った女の子の話をしよう。

その子は大学生くらいの子で、相棒の女性と二人で京都を発ったという。でも、二人だと意見が一致しないことがあるらしく、今夜のユースホステルだけを決めて別行動になったらしい。
八幡平から岩手県の雲海を見おろしている彼女の脇を、ちょうど私が通りかかり、ディバージョンという珍しいバイクに乗っていたこともあって、後ろ姿に声を掛けたのだった。

「どちらから?」
「京都の北区からです」
4月に免許をとって、早速、北海道へということらしい。もしも私が彼女と同年代ならもっと胸をときめかせて彼女を知りたがるだろうが、離れているし、そこは一人のツーリストとして旅の挨拶を交わしたのでした。

ソロツーリストにはソロの掟のようなものがあって、名前も聞かないことだってあります。でも、家に帰ったころに彼女のことを探したくなってくるのだった。

昔、プロポーズ大作戦というテレビ番組があったなあ、と懐かしみ、日記を書きながら思い出しました。


2006年4月23日 (日曜日)