セックスフレンド  

2004年 12月 13日


僕がアイツにむかって
「俺たち、このままだったらセックスフレンドじゃないか」
と言ったのが夏だった。
それから、3ヶ月ほどが過ぎた。

北風が吹き降ろす場所で再び会った。
その風は大きな湖の上を
さらに氷のようになるほどに冷たく
まるで凍らせたようになって、
湖岸のわたしたち二人にぶつかってきた。

アイツは髪を短く切っていた。

「大事に持っていた写真だけど、もうこれ以上僕のところには置けないよ、家族が爆発してしまう」

アイツは無言で僕の渡した写真を胸のポケットにしまった。
「僕の一番大事にしていたキミの写真だ」、とは言えなかった。

初めて出逢ったときにひとときを過ごしたこの場所で、
もしかしたら最後になるかも知れない儀式をしている。
おい、オマエ、アイツをこのままほんとうに諦めるのかよ…
と叫んでいる自分がいる。

春になったらまた会いたいね、と言葉にできず山を見ている自分もいる。

「3ヶ月前には、一瞬だけ歯車が噛み合わなかっただけじゃないか
どうしても許せないのか
あの場所から、あそこから再出発はできないのか」

炎のように燃える鳥のようなアイツが僕を見つめていた。
僕は視線を合わせることすらできず、湖面のほうに顔を向けた。