夕映えや焦げるルージュの素顔かな
2007年 09月 04日
■ 鳥のひろちゃん
いまでも僕は思い出すのさ
初めて出会ったキミのこと
キミはひとりの旅人で
僕もゆきずりの旅人だった
五月の風が揺らす柳の並木道
キラキラと水面が光る疎水のほとり
信号待ちで止まった僕が
バイクに跨る君を見つけた
どうして、どうして、どうして
僕たちふたり、出会ったのだろう
遠く遠く遠く旅を続けながら
どうして別れが来たのだろう
友だちのままでいたかった
そんなセリフもいえぬまま
夏になる前、便りも絶えた
キミはいつまでもどこまでも
鳥のように自由な子だった
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■ 黒い天使
あの子は黒い天使のような人だった。
悪魔のようなズルイ目で僕を見上げて抱きしめて欲しいとせがんでみたり、
骨までとろけてもう動けません好きなようにしてくださいな、
と何度も呟いた。
囁き合えば不安に駆られ、
肌が触れ合えば不幸の予感がした。
可愛い奴だった。
きっと、毎日が寂しかったんだろう。
ハイヒールを履いても
ピンクの服を着ても
亜麻色に髪を染めても
誰も素敵だって言ってくれやしなかった。
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夕映えや焦げるルージュの素顔かな ねこ作
(これで、おわり)