もう会えなくてもかまわない、 |
あの男は私を置いたまま、北に向かって走って行ってしまったの。 でもね、やっぱしね、私には男なんて無縁なのだと思った。 昔、男にありったけの金を持って逃げられたことがあったの。 愛なんて嘘っぱちよ。カラダが欲しかったんだよ。だってさ。私ってそんなに美人じゃないからね。 基花には、ふたつの心があった。 男を許せない、許さない心と、 そして、ほんとうに微かだが、少しは許してもいいかなと思う心もあった。 〔2004年 5月中旬に記す〕 |
〔次章に続く〕 |