5月5日号 立夏篇

カエルがけたたましく啼く。4月早々に水田に水が張られたころから当然のことのように啼いてはいるが、5月になるまではさほど気にならかった。それには理由がある。GW晴れていた日などは気温が25度を超え、宵になっても寒くない、というより、少しひんやりとした外気が欲しく窓を開けることがある。今、これの原稿は、夕食を終えて自室に来て書いているが、昼間の余韻のようなものが部屋に残っていて、空気を入れ替えるために窓を開けている。机に向かって落ち着くと、ちょうどそこにカエルの声が届いてくる。早くも夏の雰囲気もある。

これが木村さん〔環境学習推進員〕のように生物学を専攻していた人ですと、私のように風流を感じるだけで満足してウイスキーを飲んでいる程度ではなく、もっと生態学などの知識や観察経験などが複合的に頭の中を駆け巡っているのかもしれない〔と勝手に想像してごめんなさい〕。例えば私ならばアマガエルの姿を思い出しながらカエル全体を構想して、心地良い風が田んぼの上を渡ってゆくのを描いているのだが、木村さんならかれこれ10種類ほどカエルの顔が思い浮かび、泣き声や棲み分けの生態などごとに、様々なことを思い浮かべるのかもしれない。ああ難しい・・・と思う一方で、なんて楽しい学問なのだろうと、その分野の方々の苦労も知らずに、カエルの声を肴にしている。

--

さて、立夏です。立夏のあくる日、つまり5月6日から9月17日まで、今年の光化学スモッグ緊急監視体制に入ります。去年は、それほど気温が上がらなかったので、緊迫した状況にはなりませんでしたが、今年は少し心配です。光化学スモッグという言葉は、昔ほど怖そうに思わなくなってきていますが、地球の自然という観点からみる大気の状況は相当に好ましくない方向に進んでいるといえます。何が一番に心配かというと、一人一人が他人事だと思っていることではないでしょうか。