演算増幅器の入力範囲

 演算増幅器、いわゆるオペアンプの入力電圧範囲は入力電圧範囲はどの程度であろうか?

図1は代表的なオペアンプの入力段を示したものである。

(a) (b) (C)
図1 オペアンプの入力段等価回路

*バイポーラ型のオペアンプの例で示してあるが、CMOS型でもVbeがVthに変わるだけで考え方は同じである。

(a)は高速型オペアンプとして用いられるものである。このタイプの特徴としてV(-)端子の入力下限は0Vまでは許容されない点にある。
保護ダイオードD1が導通した場合、V(-)端子の電位は-0.7Vまで低下するがこの時、初段Q2のエミッタ電位Q2(e)は0Vになってしまう。

 従って、アクティブロードのQ4の動作電圧がなくなり、Q4カットオフ→Q3もカットオフとなり、出力が反転することになる。

つまり、このタイプのオペアンプの入力下限は(0+α)Vまでとなる。 また、入力上限は内部最高電圧がVccなので基本的には(Vcc-0.7)Vまでとなる。
(α=0.2〜0.4V)

(b)は汎用のオペアンプとして広く用いられるタイプのもので、(a)の欠点の対策として初段をダーリントン型としてアクティブロードQ7の動作電圧を確保している。

 従って、入力電圧下限は0Vまで許容できる。また、入力上限は内部最高電圧がVccなので基本的には(Vcc-1.4)Vまでとなる。

(c)はICの内部に組み込む場合の標準的なタイプで、入力電圧範囲を制限できる場合に用いられる。
 IC内部ではNPN型の場合は材料物性がPNP型より優れているので同じデザインルールでも優れた特性が得られる。したがって、なるべくNPN型を主として用いた方が全体的な特性としては優れるkとになる。

入力電圧下限は(+0.7+α)Vまでに制限されるが、上限は(Vcc-α)Vまで許容できる。