今日は。あなたはこんなスローガンを聞いたことはありませんか?   「徹底した設計の標準化とシステム化で設計コストを引き下げる」 あなたはこの言葉の意味合いをどう取らえますか?  意地悪く捉えれば、「標準設計には金を払わない」、「設計コストの安い外国で設計 させる」と言えませんか?  つまり、「ルールに則っただけの設計しかできない人は外国人と置き換える」と 言えませんか?  この文書に見えている意味はそうだと思うのですが如何でしょうか?  事実、中国製品は既に汎用品レベルでは日本に追いつきつつあり、韓国製品は既に日本 を追い抜いています。これが上記の言葉の実際の姿なのです。  日本技術の停滞、それには別の資料にも書きましたが、世代間の技術の伝承が上手く いっていないのも原因でしょう。 「設計ルールはあるが、資料を廃棄した為、決まった時の技術背景が分からない」という ことです。  設計ルール =設計手順・規則  設計基準  =技術水準・背景を含めた設計ドキュメント類・設計思想・判断基準  要するに、先達が苦労して設計基準や評価基準を作り上げたが、技術が継承されずに 「設計ルール」という結果だけ残ってしまったという事です。  ルールはあるが、誰が決めたのか分からない、変更しようにも決まった背景が分からな いので変えようがない、ということから設計ルールは追加されこそすれ、減ることはない 事になります。旧態の設計ルール、これが時間を喰うのです。  旧態依然の設計基準が決まってきた時の業務内容と、CAE・データーベースを駆使した 現在の設計業務内容が同じである筈がありません。  肝が分からない為に、「とりあえず従来ルールを踏襲して…」という事が時間を喰い、 肝心の検討時間がなくなっていくのです。  結果、設計ルールの増加に比例してチェック時間は長くなり、冒頭の 「設計コストの安い外国で設計させる」 繰り返しとなるのです。 我々が今、心がけなければならないのは 『旧態依然とした設計の標準化』 を守ることではなく、 『設計の肝を見抜き』、『まとめ上げ』、 それを  『設計基準に組み込み』、『如何に設計ルールを減らしていくか』 ということなのではないでしょうか?