第4話【花も嵐も】 ただ佇む、三内丸山遺跡<青森県>


1996年の東北ツーリングでは13日間をかけて東北を走り回って19箇所の温泉に入ってきました。私にとっては思い出深い場所であり不動の記録です。その旅の動機は「三内丸山遺跡」を見てみたいからでした。

縄文時代、まだ1歳ほどの子どもを亡くしてしまったら、村のはずれの墓には埋葬しなかった。自分たちが毎日暮らす台所の片隅に、その子を壺に入れて 埋葬したのだ。そんな発掘の報告記事を読んだことで、私は、その遺跡を見てみたいとそう思ったのです。人の心に触れることができるような気がしました。

ツーリングに飛び出すには、瞬間的なパワーが必要です。しかしそれだけではなく、北の果てまで諦めずに走り続けるだけのエネルギーを保持させてくれ る何かも必要です。この三内丸山遺跡は私を釘付けにして、エネルギーをくれました。公開直後には復元された大きな櫓はなく、ただの野っ原に発掘箇所が点在 していただけだったのだが、あまりにもその素朴な生活ぶりに感動しました。その夜も感動が冷めず予定を変更して二日目も行った。

旅は気まぐれ。明日の予定は自分で決めるたびだからこそ出来たのだろう。

決してソロツーリングというスタイルを皆さんに押しつけるつもりはないけれど、こういう所に佇んでひとりでのんびりと考えに沈んでみるのもツーリングの醍醐味ではないだろうか。

車に乗ればカーステレオやラジオの音楽が、電車に乗れば周囲の人の会話が否応なしに飛び込んで来る。

それがバイクであれば、自分だけとの会話が一日中続く。何と贅沢なことでしょうか。


2006年4月20日 (木曜日)