ウィスキー党なんです。
あの人は、
僕がウィスキーを好きなことを知らないまま、
僕と別れて何処かに行ってしまった。
そう。
氷をアイスピックで割ったり、
水を注いで、人差し指でそれをかき混ぜたり、
氷がカタンと崩れるのをじっとじっと見つめて待ち続けたり、
子どものようなそんな僕を知らないまま、別れてしまったのだ。
一生懸命に生きている人だった。
琥珀色のウィスキーを僕が、
まるで宝石を眺めるように見つめていたのを、
気づいていただろうか。
いつも
饒舌であった僕が、酔いつぶれる直前に、
あの人に何を話したのか、あの人しか知らないのだけれど
僕は琥珀色のお酒が誘い込んだ神秘的な魔術によって
あの人と別れた。
僕は一生、
辛辣なあの人の言葉に攻められ続けることになるのだが、
僕は一生、
二人で琥珀色の液体の中を彷徨う夢を見続けるのだ。