日本海は寂しいね

ちょうど特急雷鳥が新潟方面に向かって走り去ってゆくのが見えた。
何号っていうのかな、と思ったけど、そんなことどうだっていいや、と気を取り直すことにした。
しばらく荒波を見ていた。小さな船が揺れている。漁師さんなんだ。ここにも小さな暮らしがあるのか。

小さな田舎の町に逃げ込もう
そこでペンションでもやろう
俺たちはバイク乗りだから、旅人のための宿をやろう

とんだ間違いだったね。あんな夢は見るもんじゃないよ。私は魚が嫌いでね、そのことを黙っていたけど、いい加減で気が付いてくれよ。

あたしは都会生まれの都会育ち。母と父も喧嘩をして別れているけど、本当はどうだかわかんない。だってお父さんとはあれから便りも会話もないし、18歳で家を飛び出してきたしね。でも最近、女の人と隣の県のあるところで暮らしてるらしいって話を聞いたけど。妹も一緒らしい。あの日に通った親不知の史跡でふと母さんのことを思い出したよ。

雷鳥って、どこまで走ってゆくんだろう。新潟かな。新潟にゆくと佐渡が見えるなーって思っていた。あそこからは見えないけど、了寛さんの里にも行ってみたいな。

ゴキゲンなときと不機嫌なときがはっきりしている人だった。

しかし、基花には、優しい心があって、どんなに怒っていても、ひとりぽっちの自分を思い出すとしょんぼりとしてしまう。

「きっと、私は一生ひとりだよ」と、それが口癖のように呟いた。「結婚なんて出来ないよ、もう…」

〔2004年6月記〕

〔次章に続く〕