ふたりでドアを閉めて;

2004年 08月 15日


---- ここでお別れね。あなたはきっと立派になれるわ。信じてる。

北陸方面への特急列車がホームに入ってくるなかで、
その子はそれを言うだけが精一杯だったのだろう。
黄金週間が終わる京都駅は人人人で、ごった返していた。

私は、米原に発つというその子を見送るために、居た。

朝から目まぐるしく時間が過ぎた。
車のラッシュでまったく時間通りに来ないバス。
待たせたまま何十分もの時間が過ぎても私は京都駅に迎えに着けなかった。
それでも、私が必ず来ると待ち続けたあの人。

東京で新幹線に乗り込むのを見送ってくれた。
あの別れから僅か1ヶ月半の時間が過ぎただけなのに、
もう何年も会わなかったかのような錯覚におちいっている。

--- 待たせたね
と言い出したのか。それさえも記憶に遠い。

--- ううん、きっと来ると信じてたし
と答えたのかどうか。

何処をどのように連れまわしたのだろう。

返したくない。このまま京都の私の部屋に誘拐してしまいたい。
そんな強烈な衝動を何度も抑えながら1日を過ごした。

あの子はあれから何処に行って、どうなってしまったのだろう。
記憶の中で、時計は止まったままだ。

心の中からも名前は消えて
その時心は何かを

無言になるのだろうか