巻線検出型RCCの動作解説

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1.回路図

 図1にプリ電源などに使われる巻線検出型RCCの回路例を示します。この回路は電圧精度は直接検出型に対して±10%程度と悪いのですが、2次側にフォトカプラ(オプトカプラ)や誤差増幅器を使用しませんので小型化がはかれます。
 ただし、2次側電圧を直接検出していませんので無負荷になると 電圧上昇が著しい、などの不具合を生じます。従って、必要最小限度の負荷が必ず掛かるように電源の構造に注意しなければなりません。

図1 検討回路図

2.動作説明

 
RCCは磁気エネルギによって巻線に誘起されたフライバック電圧を出力電圧として負荷に供給しています。
つまり、トランスであれば磁気結合しているので2次電圧を直接検出しなくてもある程度の精度で2次電圧を推定することは可能なのです。  

図2 各部電圧波形

 

 

 図1の回路であれば、Lp,Ls,Lb3つの巻線にインダクタンス比に応じてフライバック電圧が生成されます。

しかし、Lb巻線は発振用なので図2示すように、Lbのフライバック電圧は負極性です。この電圧を整流すると2次電圧に応じた負の検出電圧を得ることができます。

 この検出電圧とQ1のベースを図1のようにツェナーダイオードでレベルシフト結合してやることで過剰なベース電流をバイパスすることができます。

 

 2次電圧上昇→Lbのフライバック電圧(負極性)増大→ZDバイパス電流増加→Q1のベース電流減少
出力電圧抑制

となって2次電圧は安定化されるのです。  

 

 実際には図1のようにスパイク波形の影響を減少させるために抵抗R8を追加したり、検出精度を改善するためにダミーロードに相当する抵抗R7、あるいはZD1と直列に保護抵抗をつけたりしますが、動作原理は上記のようなものです。  

 

3.評価結果

 図3にシミュレーションによる確認を行った回路図と電源電圧を200V/300Vに設定した場合の静的負荷変動を測定した例を示します。

15V/45Ω(5W)/90Ω2.5W/135Ω(1.67W)と負荷抵抗を切り替えていますが、安定した動作をしていることが分かります。

 入力電圧も200V/300Vに変えていますが負荷変動込みで安定度としては±0.5V以内に収まっています。半導体のSpiceモデルや、各部の定数を詳しく調整していませんのでこの特性例はあくまでも一例ですが、巻線検出型の可能性を示しています。

 

 

図3(a) 入力電圧200V時動作波形 図3(b) 入力電圧300V時動作波形