趣味について
履歴書の趣味の欄に「読書」とか「音楽鑑賞」とか書いてあるのは、何も趣味が無いのと同じことだ。中には、「ステレオ鑑賞」とかいうのがあって、「ステレオ」を見ているのかな等とバカなことを思ったりもする。「趣味を持たないのが私の趣味です」等とわけの分からないことを言い出す輩までいたりする。いったい何を考えているのやら。
大学生の時、教授が「読書は趣味ではない。本を読むのは当たり前なのだから、それが趣味などと恥ずかしいことを言わないように」と言ったので、なるほどと思って、それ以来、趣味から読書をはずした。確かに、人が生きていく上で、本を読むというのは、当たり前のことだろう。
お金と時間と少しの才能があれば、やりたいことはたくさんある。だれかが、「楽しい」と言うことは、すべて自分も体験して、「楽しい」と思いたい。
例えば、グライダーに乗って、空を飛びまわりたい。僕は、高校生のとき、グライダー部に籍を置いていたこともあって、一度だけモーターグライダーに乗って、空を飛んだことがある。滑走を始めるとガタガタと機体が揺れていたが、離陸した瞬間、振動が消えた。うれしくてうれしくて、思わず笑ってしまった。空から見る田んぼは、小さかった。操縦桿を握らせてもらったけど、メーターを見るのが精一杯で、操縦どころではなかった。先生が、失速反転というのをやってくれた。戦争映画等で水平飛行から急降下に入る、あの状態だ。操縦桿をいっぱいに引いて、方向舵を蹴飛ばすと、風防の風を切る音がやんだ。次の瞬間、機体は急降下に入っていた。田んぼが近づいてくる。先生が隣で操縦桿を引く。すると、機首は徐々に上を向き始めた。そのとき、僕は膝の上の手を上にあげようとしたが、なかなか手があがってこなかった。Gというものを初めて実感した瞬間だった。10分間程の体験だったけど、あれは気持ちよかった。最高の気分。有り余るお金があれば、今でも一般のクラブに加入して、空を飛ぶことができるけど、なかなかそうはいかない。
ヨットもいいだろうなあ。まだ乗ったことないけど、友人が持ってるから、いつか乗せてもらおうと思っている。彼は、一時期全国でも有名なヨットマンだったらしくて、三重県からヨットで湘南海岸まで行くと、「あれは三重の○○だ!」と騒がれたそうな。どこまで本当かは知らないけど。
若いうちは、やりたいことを何でもやってみて、幅広くいろんなことに手を染めるのもいいだろう。そのうちに、一生かけてやっていくものが見えてくる。今、僕には、一生かけてやっていくだろうと思われることが四つくらい残った。一番目が武道。これは、趣味というよりは、僕の存在価値の一部のような気がしている。二つ目が、バイク。だれが何と言おうと、一生バカであり続ける。三つ目がギター。中学の時からあまり上達はしていないけど、そのうちにマーチンのフォークギターを手に入れようと考えてる。四つ目が写真。これは、非常にお金がかかる。まだまだ、本格的にのめり込んではいない。体が動かなくなってからでも十分やれるだろうと思っているので、今は準備段階。だけど、ずっとやっていくだろうということは、自分で分かっている。あと、まだ手を出していないけど、歳をとったら、囲碁をやりたい。あれは、楽しそうだ。機会があれば、ビリヤードもやりたい。スリークッションの世界選手権なんて、10年ほど練習して、出てみたいものだ。
人生を楽しむために、いろんなものが身近にある。あとは、やるかやらないかの問題。仕事が趣味になったりしたら、おもしろくないでしょ?何が自分に合っているのかが分かるまでは、片っ端から行動することだ。これさえしていれば、嫌なこともすべて忘れるというくらいの何かを見つけなくっちゃ。だけど、ひょっとしたら、勉強が一番おもしろいのかも知れない。
22号 楽天的な生き方について
◆ ◇ ◆
24号 概念について
トップへ戻る