手品にはタネがある
タネがわかると
なぁんだ とだれもが思う
でも
タネがわかったところで
手品師にはなれない
その昔
引田天功(ひきたてんこう) という
男の手品師がいた
あるテレビの番組で
種明かしをすることになった
で その解説途中
彼は失敗をする
引田天功が失敗をした
と いうことで
司会者は大喜び
でも その失敗こそが
彼の別の手品だった
彼はプロだ
いったい何が起こったのか
ずっと気になっていた
何か月たったのか
何年たったのか
もう忘れてしまったけれど
ある時 突然
彼の手品のタネがわかった
タネがわかると
できるように思ってしまう
もちろん錯覚だ
唐突だけれど
おならは どんな音?
ぶ? ぷ?
他には?
谷川俊太郎(しゅんたろう)の詞はこうだ
おならうた
いもくって ぶ
くりくって ぼ
すかして へ
ごめんよ ば
おふろで ぽ
こっそり す
あわてて ぷ
ふたりで ぴょ
あなたの知ってる
日本語の ひらかな だ
でも こんな詩は書けない
わかること と できること
そこには
おおきな 隔たりがある
わかったからって エラそうにするな
たかが わかっただけじゃないか
ほんとうに わかったなら
新しいものを つくりだせ
わかってるか?
ぴょ は ハモってるんだぞ