小児科医 緒方高司さんの
「君がここにいるということ」
という本をアレンジして紹介します
4歳の由香子ちゃんは白血病
骨に注射針を刺す とても痛い検査をする
由香子ちゃんは 怖くて泣きさけぶ
お母さんは 覚悟を決めていた
由香子と一緒に 病気と闘います
由香子が食事をしないなら 私も食べません
由香子の脚を切るのなら 私も切ります
だからまず 私の骨に針を刺してください
すると 由香子ちゃんが言った
ひとりでがんばれるよ!ママはしなくていいよ
抗がん剤治療は 髪の毛が抜ける
不安そうな由香子ちゃんに 看護師が言う
大丈夫 髪の毛は また生えるよ
由香子ちゃんは言った
違うの ママが「ぼうず」にしないか心配なの
7歳のとき 再発
由香子ちゃんの夢は お医者さんになること
由香子ちゃんは言う
入院したから 病気の子を治したいと思ったの
だから いっぱい勉強しようと思った
病気になってよかったのかもね
入院中の七夕の日 願い事を短冊に書いた
早く治りますように と だれもが書く
それなのに 由香子ちゃんの願い事は
パパとママとチコちゃん(飼っている犬)が
病気になりませんように だった
9歳のとき 骨髄移植をすることになった
十月のある日 無菌室の中から
インターホンで お母さんと話した
ママ 私がいなくなっても ひな祭りの日には
おひな様をかざってね 約束だよ
由香子ちゃんは 一度も退院することなく
3か月後に亡くなった
喪失感で お母さんは何もできなくなった
三月 お母さんは ふと約束を思い出し
ひな人形の箱を開けた
お内裏様には パパ と刺繍された布
おひな様には ママ と刺繍された布
三人官女のひとりに 由香子 と刺繍された布
そして 手紙があった
パパとママへ
今までありがとう
パパとママの子に生まれてこられて
しあわせでした
わたしはいなくなっちゃったけど
しんぱいしないで
このおひなさまみたいに
おおぜいのお友だちにかこまれて
楽しくすごしています
だから 悲しまないでね
こんど生まれ変わったら
お医者さんになりたいな
そのときは パパ ママ
わたしを見つけてね