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むてき 12号

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授業のテクニック
 
 どんなに指導案がすばらしくても、つまらない授業はたくさんあります。自分たちが生徒だった頃、あの先生は授業が上手だ、とか、この先生は授業が下手だ、と皆で言い合っていたはず。ですから、そのことを思いだせば、自ずと上手な授業のやり方が分かるはずなのですが、どのような授業が良い授業だったのかは、思い出せないものです。
 
 上手な授業に必要なことは、私が考えるに、まず、「声」でしょう。質、抑揚、大きさ。それらが、授業内容に合っていないといけません。大きい声は必要ですが、大きいだけでは聞こえません。大きすぎると生徒の脳が、その声をシャットアウトしてしまうのです。では、どのような声が良いのか。実は、私も分からないのです。口を大きく開けないと、くぐもった声になって、聞き取りにくくなります。また、語尾をはっきり発音しないと、結論が分かりにくくなります。その程度しか、分かっていません。ただ、テクニックとしては、「大事なことは小声で言う」ということです。声が聞き取りにくいと、人は集中しなくてはなりません。ですから、小声で言うのです。でも、小声では、聞き取れません。ということは、小声で言う前に、生徒を集中させなければなりません。その代表的なテクニックが、沈黙です。
 
 沈黙というのは、しゃべり続けるより効果があります。でも、大抵は、教師の方が沈黙に耐えられなくなるのです。大声で叱った後など、すぐに話しかけるのではなく、教師側も沈黙に耐えなければなりません。これは、お互いに疲れます。授業において、沈黙を多用すると、生徒はどっと疲れます。ほどほどにしてください。
 
 また、経験の浅い教師は、「わかったかぁ?」「ええか?」などと口にします。沈黙が怖いのと生徒の状況が分からないからです。そこで、生徒が頷いてくれればよいのですが、首をかしげたり、きょとんとしたりしていると、大変です。今、説明したことを、最初から説明し直す羽目に陥ります。生徒が理解したかどうかは、生徒の顔で判断しなければなりません。これには、やはり、経験が必要になるのでしょう。
 
 教育実習の時に教わったことのひとつに「難しいことを難しいと言ってはいけない」というのがあります。「ええか、ここは難しいで、良く聞けよ!」と言った瞬間、難しいなら理解できるはずはないと、聞く前から諦める生徒がいるのです。ですから、難しいときこそ、簡単だと言わなければならないのです。難しいことを、その時の説明だけで理解させることは、ほとんど不可能です。難しいことを理解するには、多くの時間を要するのです。その時は、説明を聞かせて、理解は後でさせればいいのです。
 
 その他にも、黒板を向いて声を出してはいけないし、指名してから発問をしてもいけません。まだまだいくつもテクニックがあるでしょうが、これは、自分一人で考えていても、なかなか気づきません。やはり、他の人の授業を参観することで発見することだと思います。お互いにどんどん授業を見て、テクニックを盗むべきでしょう。
 
 変な話しになりますが、私は、授業において、まず、自分の意識を教室中に飛ばします。うまく表現できないのですが、意識の届く範囲を広げるのです。これは、教室くらいの広さなら何とかなるのですが、今の私では、体育館一杯にまで意識を広げられないのです。ですから、体育館での集会のときは、後ろの方の生徒に、『声』が届いていないのだろうなと思っています。
 
 
  

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