教科「英語」
私は英会話ができません。中学校から大学まで、それなりに勉強したつもりですが、話すことができません。でも、それは、普通のことです。私たちが受けた教育は、話すことを目的としていなかったからです。
話すことと英語の文章を読み書きすることと、どちらが習得に時間がかかるのかわかりませんが、現在の英語教育は、コミュニケーションの道具として、話すことに重点を置いているように思います。
20年ほど前に中国を旅行したとき、ガイドさんが日本語を話していました。でも、彼らは、日本語を勉強し始めて2ヶ月ほどしかたっていなかったのです。これは、中国語と日本語の母音等が関係しているのかもしれませんが、何よりも、日本語を話せることが給料に影響あったからでしょう。もし、日本において、英語を話せる人の給料が話せない人の2倍になるとしたら、英語を話す人がものすごく増えることと思います。
将来の科学者を育てるにあたっては、英語の文章を正確に読めるようにしなければなりません。というのも、外国の文献を読む必要があるからです。最新の研究成果は、まず英語で発表されます。これを読まなくてはならないのです。また、新しいことを発見したら、まず、英語で発表しなければなりませんから、書く力も必要になります。
DNA(遺伝子)の構造が「2重らせん」だと聞いたことがあると思います。これは、1952年にフランクリンが撮影したDNAのX線回折像(注:X線写真ではありません。)を見る機会を得たワトソンとクリックが、1953年に科学雑誌「Nature」にA4一枚、わずか1000語程度でDNAが2重らせん構造をしているというレポートを発表したのが最初です。このレポートがあったから、彼らは1962年にノーベル賞を受賞したのです。
DNAのことではありませんが、その昔、日本人が発見したことが、日本の雑誌にしか発表されていなかったため、世界的には認められなかったということもあったようです。残念なことです。
今の日本の英語の大学入試は、日本語力を必要とします。長文読解と称する問題には、キーワードがあります。このキーワードの意味が分からないと、文意が理解できません。知らない単語であれば、想像しなければならないのです。
高校時代の国語のテストで、漢字の読みを答えるものがありました。「・・・は欠伸をした。」私は迷わず「けっしん」と書きましたが、友人は、考えました。そこで、彼は「欠伸」を塗りつぶし、当てはまる語句が何かを考えたところ、「あくび」であるとの結論に達しました。
現在の英語のテストでは、このような能力も必要とされているように思います。
もし、大学入試が、英会話形式で行われるようになれば、日本人の英会話力は飛躍的に向上します。同時に、英会話学校が大盛況になること間違いなしです。
英語を学ぶということは、母語以外の言語を学ぶということです。言語というものの構造を理解するのは、母語以外の言語の方が取っ付きやすいように思います。そこでは、母語との比較が必ずでてきます。単語が違うだけではなく、語順であったり考え方であったり。それらが、母語を理解することにも通じると思います。
英語の授業は、英会話スクールの授業とは、教え方も内容も異なります。ただ単に話せるようになることだけを目的にしているのではないのですから。
21号 教科「数学」
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23号 教科「理科」
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