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むてき 24号

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教科「社会」

 社会科の教員免許は、地歴科と公民科に分かれてしまいました。確かに、中身は大きく違いますが、工業とか農業の各分野の専門性の方が、隔たりが大きいように思います。工業の電気専門の先生が土木を教えることなど、無茶な話です。社会科のままでよかったように思うのですが。
 
 社会科の内容は、それこそ、生きていく上で身につけておかなければならない知識です。公民における日本の政治のことなど、日本で大人になる以上、必ず知っておかなければならないことですし、生きていることの意味を考え続けている人類が、どのようなことを考え出してきたのかを教てくれる倫理は、触れておくべきだと思います。
 
 地理は社会科に分類されていますが、アプローチの仕方は、理科と変わりません。科学的手法の対象が異なっているだけのことです。
 
 高校の社会科においては、現在、世界史が必履修科目になっています。しかし、どう考えても、必履修すべきは日本史だと私は思っています。国際社会で活躍するには、世界の歴史を知っておく必要がある。そうかも知れませんが、それは、自国の歴史を知った上での話です。自国の歴史を知らない人間を、他国の人間が信用してくれるとは思えないのです。「私は、国際人です」と言ったところで、誰が相手をしてくれるのでしょう。いずれ、そうなるのかも知れませんが、今は、日本人であるという立場をしっかりさせて国際社会に出て行くことが大切だと考えています。
 
 歴史のテストに出るので、私は、年号を一所懸命覚えました。しかし、出来事と年号を覚えたところで、ほとんど何の役にも立ちません。ある原因があって、あることが起こる。それが、西暦何年ということであって、その年号が大切なわけではありません。そういうことが、高校生の時に分かっていなかったのです。
 
 もうずいぶん前に、日本がアメリカと戦争をしたことを知らない若者が増えているという記事を読んだことがあります。中には、原爆を落としてもらったから戦争が早く終わったと思っている若者もいるとか。いったい、どこの国の歴史なのでしょう。
 
 私はサイエンスの立場から、原爆の原理、開発の経緯等について授業をします。その中で、私は言ってきました。「100歩譲って、譲れないけれど、1000歩譲って、譲れないけど、もし、広島に原爆が落とされたことがしかたなかったとしても、長崎に原爆が落とされなければならない理由はなかった」と。
 
 歴史は、後世の人間が作るものです。起こったことをどのように解釈するかということです。
 
 私たちは、歴史の上に生きているのです。それぞれの国にはそれぞれの歴史があって、どうして、今、自分が存在しているのかを理解していなくてはなりません。自分の存在は、恥ずべきものではないはずです。どこの国に、自国の歴史を恥ずべきものとするところがあるのでしょうか。母国の無いことがどれほど悲惨なことであるか。人類は知っているのです。
 
 21世紀になっても、領土や領海を拡充しようとしている国があります。人類は、まだまだ成長していかなければなりません。地球の大きさは限られていて、資源も限られているのです。国として我を通すことだけではやっていけないことを、人類はいつか知る時がくるでしょう。
 
 これからの時代を生きていく人類の幸せのために、社会科教員の力が必要です。
 
 

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