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むてき 5号

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プロフェッショナル
 
 先生の仕事内容は、多岐にわたります。時代により、学校に期待されることも変化していきます。もちろん、子供たちは、学校だけで成長していくわけではありません。以前は、家庭や地域社会が子供たちの成長に大きな役割を果たしていました。家庭での躾は当たり前のことで、躾のできていない子は、近所の人が叱ったり、地域のお兄さんお姉さんが面倒を見ました。お父さんやお母さんの帰宅が遅くなるときは、近所の人がご飯を食べさせてくれたりと、子供たちは、地域社会が育てていたのです。だから、学校は勉強を教えていれば、よかったのです。中には、愛情不足の子供がいたりして、先生が親の代わりをすることもありました。そういうことができたのは、そういう子供が少なかったからです。しかし、時代が変化して、家庭や地域社会の教育力が徐々に落ちてくると、家庭や地域社会が学校にそれらの教育を託すようになってきました。
 
 私の教え子たちも親になっています。私は、自分の子供を放ったらかしにしてもいいというような教育をした覚えはありません。子供は「つくる」ものではないし、自分のペットでもない。子供は、(神様がいるかどうかは別として)神様から「授かる」ものだし、神様にお返しできるよう育てさせてもらっているのだよ、と教えてきたつもりです。また、自由とは、好きなことをするということではないんだよ、と教えてきたつもりです。このような教育をされてきた先生はたくさんいらっしゃいます。でも、力不足で、大切なことを伝えることができなかったのでしょう。または、学校教育とはその程度のものなのでしょう。もしかすると、間違って伝わったのかもしれません。何にせよ、一所懸命、教育をしてきたと思っていたところで、現実が結果です。学校教育で人格形成に及ぼす影響は、どの程度のものなのでしょうか。
 
 学校は勉強を教えるところです。今、未来のために、子供たちを何とか育てなければならないのですが、本来、そのような機能を有していなかった学校が、すべてを背負い込む羽目に陥っています。これは、もともと無理な話なのです。しかし、学校ですべてを教育することが無理であることを認めてしまうと、誰かが何とかしなければならないことになりますから、学校関係者以外が、そのことを認めるわけがありません。そこで、学校を攻撃することになります。攻撃している間は、自分たちに責任がかかってくることもないと思っていますから。本当は、学校を攻撃するのではなく、自分たちに何ができるかを考えなくてはならないのでしょうが、今のところそのような期待はできません。
 
 命の教育、人権教育、特別支援教育、キャリア教育、コミュニケーション能力の向上等々、その時々の誰かの思いつきが、あたかも学校教育の課題であるかのように叫ばれます。純粋に、教科の授業だけをしていればよかった時代は、とっくに過ぎ去ってしまいました。こんな多様な教育を学校で行えるはずがないのです。先生がみんなスーパーマンではないのですから。
 
 でも、このように叫んでいる人々の気持ちも分かります。今は、学校以外に頼れる所がないのです。その内に、世の中の状況も変わってきます。それまで、何とかしのがなければなりません。でも、本質を見失ってはいけないと思っています。
 
 では、先生は、何をもってプロと言われるのか。
 
 私は思っています。それは、「授業ができる」ということです。
 
 
 

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