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むてき 8号

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授業のタブー!
 
 夜、テレビをつけると、クイズか食べることかお笑いかスポーツばかりです。よくもここまで視聴者をバカにし続けるものだと感心してしまいます。テレビが普及する前の昭和32年に、評論家である大宅壮一氏が、テレビのことを「一億総白痴化装置」と呼んだそうです。同様のことは、「シオンの議定書」にも書いてあります。もっともこの「シオンの議定書」は偽書だと思われますが、内容は大変興味深かったことを記憶しています。(別に、私はユダヤ人差別をしているわけではありません。念のため。)
 
 授業において、クイズ形式を取り入れると、「楽しい授業」ができたりします。でも、これは「楽しい授業」であって、「分かる授業」と同等ではありません。
 
 テレビのクイズを解答者であるタレントと同じように考えたとして、どれほどのことを記憶しているでしょうか。その時は、答えを知っていた、知らなかったということで盛り上がるのでしょうが、新たな知識が、どれほど増えたでしょうか。
 
 クイズは一種のテストですが、正解かどうかを楽しむことはできます。基本的に知識を増やすためのものではありません。また、選択肢に誤ったものがあるので、そちらが記憶されてしまうこともあるのです。
 
 科学においては、仮説を立てます。ある事象に関して、生徒に仮説を何通りか立てさせ、実験によって、真実を導き出すということを、私も何度かやってきました。クイズのようなものです。ここで、問題となるのは、誤った仮説を板書し、その仮説も正しいかもしれないということで、誤った論理の組み立てをさせることです。この場合は、誤った論理が誤りであることを、生徒全員に理解させなければなりません。そうでないと、誤った論理を記憶してしまうことになりかねないからです。誤った論理が誤りであるということを理解することは、正しい論理が正しいと理解することと同等なのです。ただし、これは、完全に理解したときのみです。完全に理解できるレベルにない場合は、やはり、正しい論理だけを授業で説明するべきだと思います。
 
 論理を構築していく授業で、例えば数学の証明問題のような場合に、途中で説明を間違って、不正解を導いてしまうときがあります。そこで、「あれっ?」というわけで、「そうそう、ここが間違っているね」と言いながら板書を消して、正しい論理に書き換えたりします。こういうことは、決してやってはいけないのです。授業の失敗です。 生徒たちは、分かっていないから、先生の説明をひとつひとつ理解しながら、論理を組み立てていくのです。その論理が間違っていても、間違っているかどうかが分からないから、正しいものだとして、論理を組み立てていきます。そこで、突然、この論理が間違っているといわれても、もう、元には戻れないのです。何も知らなかった白紙の状態と誤った論理を一度考えた後では、状況が異なっているのです。それなのに、間違った部分を消して、同じような説明を続けても、理解できるのは、一部のレベルの高い生徒だけです。最初から、別の説明をしなくてはならないのです。
 
 授業においては、決して、決して、誤った論理を組み立ててはいけない。これは、私が大学生のとき、授業で習ったことです。ですから、教材研究を、とことんやっておく必要があるのでしょう。
 
 
 
  

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