友達ってなぁに?
僕は高校生の時、理数科というクラスにいたので、3年間クラス替えがなかった。
高校受験の時、クラス替えのある普通科にするかどうか迷ったけど、知り合える数が少なくても、深くつき合えるだろうと思って、理数科にした。
もちろん、理系が好きだったというのが一番の理由だけどね。
3年間一緒にいても、中には、ほとんど話をしなかったクラスメイトもいた。
それじゃ、彼らは友達じゃないのかというと、僕は、そう思ってはいない。
3年間もずうっと一緒だったクラスメイトだもの、僕は友達だと思ってる。
彼らが僕のことをどう思ってるのかは、知らないけどね。
ときどき、一度会ったらもう友達だと考えるヤツもいるけど、僕の友達の概念は、そこまで広くない。
一度会ったくらいなら、知り合いだね。
でも、知り合うことから友達になれるんだ。
その、知り合える場というもののひとつが、クラスなんだ。
社会に出ると、学生時代のように同年代だけで行動することは少なくなる。
となると、おかしなもので、どんなに仲が良くなっても、友達とは呼びにくい。
彼らは、仲の良い職場の同僚であったり、先輩であったり、後輩であったり、または、何かのサークルなどの仲間だったりする。
ということは、友達ってのは、主に学生時代の同年代の者同士の間のことをいうのかも知れない。
僕の友達にも、当然いろんなのがいる。
医者になったヤツ、
歯医者になったヤツ、
教師になったヤツ、
塾の講師になったヤツ、
大学教授になろうとしてるヤツ、
原発を設計してるヤツ、
防衛庁のコンピュータの何かのプログラムを組んだヤツ、
アメリカでコンピュータを作ってるヤツ、
アラビア語がぺらぺらで、中近東へしょっちゅう行ったヤツ、
水道屋、会社員、公務員、主婦、
そして行方不明になったヤツ。
みんなどこかで、がんばっているはずだ。
そんな多くの友達と、今は会うこともない。
高校を卒業してから、一度も会ってないのもいる。
人生そんなものなんだろう。
だけど、どこかの街角で偶然出会って、ヨォ!って手を上げたら、その瞬間にそれまでの会えなかった時間は消滅して、お互いが高校時代の友達に戻ってることだろう。
きっと嫌なこともいっぱいあったんだろうけど、そんなことはみんな忘れてしまった。
そのかわり、腹がよじれるくらいに笑ったことや、夜まで話し合ったことや、自転車で走り回ったことや、文化祭や体育祭でがんばったことは、覚えてる。
僕のクラスは、40人で、女子は8人しかいなかった。
その8人が、体育祭の時だったかに、全員のハチマキを作ってくれた。
文化祭のステージで演奏したときにも、声援を送ってくれた。
そんな状態だったから、仲が悪かったわけじゃないんだけど、shy(シャイ:内気な)だったのか、女子と話をする男子は一部だった。
僕も、用がない限り女の子とは、ほとんど話をしなかった。
下校時のある時など、下駄箱でクラスの女の子に「さよなら」って言われたのに、ビックリしてしまった僕は、「さよなら」って言うこともできなかった。
当然、彼女は何事もなかったかのように帰って行った。
今思えばバカみたいだけど、そんな状態だったんだ。
卒業しなくても、クラスが替われば、もう話をすることがなくなる同級生もいる。
そんなことが、あの時分かっていれば、みんなともっともっと話をして、男子が女子とももっと話をしてたなら、もっともっともっと素敵なクラスになってて、ずっとずっと多くの思い出が残ったに違いない。
クラスメイトの名前が、みんな言えますか?
気が合う合わないに関わらず、みんなと話をしましたか?
まだだとしたら、今からでも遅くない。
今だけでなく未来がもっと楽しくなること請け合います。
ほんの少しの勇気を出して、一歩を踏み出せばいいんだから。
話すきっかけなんて、なくてもいい。
もう2度と会えないかも知れないのに、まだ躊躇するのかい?