平等ってなぁに?−その2−
生命ってものが、どのようにしてこの世に誕生したのかは、だれにも分からない。
無から宇宙が誕生して、宇宙の中に地球が誕生して、いろんな物質が溶け込んでいた地球の原始の海の中で、突然、生命が誕生した。
だけど、どのような実験をしても、生命をつくりだすことはできない。
生命は生命からしか、決して誕生しない。
宇宙の誕生(=時間の誕生=空間の誕生)も、生命の誕生も、人類が抱えてる大きな謎なんだ。
生命には、共通しているものがある。
それは、どの生命もそれぞれの生命体を作り上げる設計図、DNA(遺伝子)を持っているということだ。
どの生命体のDNAも、たった4種類の物質が鎖のようにつながってて、しかもそれが2重になってて、必ず左巻きの spiral(スパイラル:螺旋)となっている。
このことは、ワトソンとクリックが1953年にA4程度の大きさの用紙1枚で発表して、ノーベル賞を獲得してしまった。
僕らの体中の細胞は全部で約60兆個(注:近年は約37兆個と言われている)といわれているけど、その細胞のひとつひとつに、僕らの体を作り上げる一揃いの設計図、DNAが入っている。
その設計図は解読できないのかというとそうでもない。
大腸菌なんかのDNAはどうなってるのかが分かっているので、大腸菌の設計図の途中に別の設計図を組み込んで、ワクチンなんかを大腸菌に作らせたりしてるんだ。
ヒトのDNAの4種類の物質の配列もかなり分かってきてるけど、それだけでは設計図を解読したことにはならない。
4種類の物質の配列の意味が分からなければならないんだ。
でも、解読できなくても、その設計図をもとに生命体を作りだせば、同じ生命体ができることになる。
これがクローンだ。
最近は、ヒツジやらサルやらでさわがれてるけど、かなり前に、アフリカツメガエルで、クローンはつくられてる。
ただ、注意をしてほしい。
同じ設計図をもっているということは、まったく同じ生命体ができあがるということじゃない。
例えば、一卵性双生児はまったく同じDNAをもってるけど、同じ人格じゃないだろう?
成長していく過程で、まったく同じ個体にはならないんだ。
ヒトはヒトの、サルはサルの、ネコはネコのDNAを持っている。
ヒトのDNAが、他の生命のDNAより高級ということではないだろうけど、この狭い地球上で、ヒトは他の種の生命を脅かすほどの存在となった。
そのヒトの勝手な解釈かも知れないが、人の命はとっても重いんだ。
命は、尊いものだ。
死んでしまったものは、決して生き返らない。
どんなに科学が進歩しようとも。
だから、命は大切にしなければならない。
寿命というのはある。
どんな命も、いつかは消えてしまう。
それまでは、生きるべきだ。
好むと好まざるに関わらず、この世に命をもって誕生したからには、精一杯生ききるべきだ。
生ききらなければならないんだ。
このような命を、すべての人がもっている。
すべての人が自分の命も他人の命も同じように大切にしなければならない。
このことが、「人は生まれながらにして平等」ということなんだ。
命をもった人は、モノじゃない。
人格をもった人間なんだ。
人身売買など許されるわけがない。
それなのに、女子高生等がアルバイト感覚で援助交際などというようなことをしてたりするそうだ。
そりゃ、お金を出すオジサンは確かに悪い。
彼女たちをモノとして扱っているわけだからね。
だけど、彼女たちももっと考えなきゃいけない。
自分から自分をモノとして扱ってくれとか、自分から自分を人として平等に扱ってくれなくてもいいとか、自分から自分の命を大切にしてくれなくてもいいと言ってるのと同じなんだから。
人として生きていく上で、そんなことは絶対言っちゃいけないことなんだ。
お金が欲しいのだろうけど、お金は、人として生きるために必要なものじゃないのか。
ところで、君の命は、いくらくらいの価値があるのかな?
30号 神ってなぁに?
◆ ◇ ◆
最終特別号
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