Part 2
高校1年の夏休みは、普通は一回です。
貴重な長期休業です。
それを勉強だけに費やすのは、もったいない。
もっともっと有意義に使いましょう。
「人生に無駄なことは何ひとつ無い」と、だれが言ったのか知らないけれど、僕もそんな気がしてる。
夏休みをぼーっと過ごしたとしても、それは人生にとって無駄では無いんだと思う。
ただ、気がついたらぼーっとしてたというのと、真剣にぼーっとするのとでは大違いだろうけどね。
<本>
今、出合わなければならない本があります。
その本は、今の君に影響を与えるのであって、時期をずらして読んだところで、何にもなりません。
僕の友人が、学生時代にすごく感動した本を社会人になってから読み返していたところ、腹が立ってきて、本を壁になげつけてしまった。
成長した彼にとって、その本はもう必要なくなったんだ。
僕は、本屋にふらっと出かける。
店内を歩いていると、やけに目につく本があったりする。
ちょっと気取って言うと、本が呼びかけてくるんだ。
そんな時は、迷わず買う。
本一冊がすべてすばらしいということは、まず無い。
一冊の本の中に、僕がすばらしいと感じることが一行あれば、それで満足だ。
その一行に出合うために、一冊の本を買って読むわけだ。
お金が無い君たちは、図書館へ行きなさい。
そこには、ありとあらゆる本があるんだから。
それらの中には、今の君が読むことによって、君の人生を変えてしまうほどのことが書かれている本が、必ずある。
<マンガ>
僕は、マンガをよく読む。
ただ、外国人から見ると(日本人から見てもかな?)、大人がマンガを読むことは理解できないので、マンガを読む大人は、たぶんバカだと思われているでしょう。
マンガが小説より劣るとは思わない。
活字じゃないから、そこには、作者のイメージが限定されているけれど、感動するものは、感動する。
思わず「うーむ」とうなったりする。
作者には何か伝えたいことがあって、その手段としてマンガという形態を使用してるわけだから、読み手がそれをしっかり受け止めればいいわけだ。
だけど、本当に、くだらねぇマンガが多すぎる。
マンガもどんどん読んでいい。
そのかわり、よく選んで読みなさい。
でないと、時間の無駄になるから。
<音楽>
今、聴かなければならない音があります。
ナツメロというのは、今、君たちが聴く音楽です。
大学生の時だったかに、松田聖子がデビューした。
僕の友人が大のファンで、彼女のレコードを全て持っていた。
彼女の歌が悪かったわけでもないけれど、僕は、あまり聴かなかった。
趣味が違うというわけでもない。
ただ、大学で、「何聴いてるの?」ってだれかに訊かれたとき、「松田聖子」とは、口が裂けても言いたくなかった。
かと言って、クラシックは聴いていると眠ってしまうし、英語の歌詞の意味も分からず、ロックやレゲエ等は聴いていられなかった。
で、ジャズに落ち着いた。
「何聴いてるの?」「ジャズさ」って答えるのは、何となくカッコいいじゃないか。
貧乏フォークから幅を広げるために、僕は、ジャズを聴いた。
だけど、今思えば、歌詞の意味が分からなくても、ポップスやロックやレゲエなども、もっと聴いておくべきだった。
クラシックを聴いて涙を流す知人がいる。
高校時代の友人には、外国語の意味も分からないのに、ブルースを聴いて泣くヤツがいた。
僕には、そんな感性がない。
心豊かに生きたいのなら、感性を磨かなければならない。
そんな感性は、今の内に磨くべきだ。
とにかく、かたっぱしから、あらゆるジャンルの音楽を聴きなさい。
今、聴くことによって、それらが、君たちの血となり肉となるのだから。
ただ、日本では、実力も無いのに、企業の戦略として売り出しているのがあるから、そんなものには、ひっかからないように注意しましょう。
と言っても無理だろうね。
お前には、この良さが分からないのか!と言われるのがオチだろう。
だけど、あえて言う。
趣味が合う合わないの問題じゃなくって、歌や演奏が下手な連中の音楽を聴いてると、感性を磨くどころか、耳がくさっちゃうよ!
<絵画>
美術館や博物館にも出かけましょう。
音楽は分かるけど、絵は分からないというのが多い。
その中の一人は、僕だ。
音楽は、小さい頃から好き嫌いに関係なくあらゆる所で聞こえてくるから、早くからなじんでしまったけど、家中に絵が飾ってあったりするわけじゃない。
小さい頃からいつでも絵を見ていたら、音楽と同じくらいに感じることができたはずだ。
その経験が不足していると思ったら、今からでも経験を積みましょう。
本物ばかりを見ていれば、何が偽物かが分かるようになります。
僕が美術館に行くようになったのは、大学を卒業してからだ。
もっと早くから行っておくべきだった。
<映画>
映画も見なくちゃいけない。
特撮がすごいとか、お金がかかってるとかいうのもいいけれど、心に残る映画がいい。
今は、レンタルで昔のいい映画がいっぱいあるから、それを見るのもいいだろう。
スクリーンほどの感動は無いかも知れないけれど、見ないよりは、ずっといい。
コメディ、アクション、ロマンス等何でもいい。
これまた、かたっぱしから見ること。
チャップリンの映画なんてお笑いじゃないんだから勘違いしないようにね。
映画をいっぱい見ることによって、人生楽しくなること請け合います。
<旅>
非日常性を求めて、旅に出ることもいいでしょう。
だけど、まだ高校1年生だから、積極的に僕はすすめない。
もっと、いろんな意味で大人になってから、遠くへ出かけましょう。
ただ、非日常性を感じるのは、自分次第であって、遠くへ行く必要はない。
(遠くへ旅に出ても日常を引きずって行く人がほとんどです)
近所を散歩したって、よく見れば新しい発見がいくつもあるはずだ。
日常の中には、見ていても見えていない非日常が隠れているんだ。
隣町へ行って、知らない人と出会う。
非日常性を感じたければ、そこで話しかければいい。
遠くへ旅に出たときだけ、知らない人がいるんじゃない。
知らない人は、すぐ近くにいるんだ。
知らない人に声をかけるということは、そこで、自分自身がどのように見られているかということを感じることができる。
自分の中に好ましくないところを見つけたら、そこから、また、自分自身を磨いていけばいいんだ。
<感謝>
無理をしてはいけないけど、多少の無茶はしてもいい。
一日中歩いたら何km行けるかとか、どれくらいの穴を掘ると水が出てくるのかとか、ぴくりとも動かずに何時間いられるかとか、何時間勉強し続けられるかとか、何でも良いから、バカらしいと思えることでも、まずはやってみること。
やらなきゃ何にもわからない。
そうして、自分がそんなことができる状況にあることを確認して、とりあえずは、お父さんやお母さんに感謝しなさい。
今、意味が分からなければ、または、素直に感謝できなければ、感謝しているふりをしなさい。
いつか分かるときが来るだろうから。
<やる気>
何事においても、「やれるか」「やれないか」ではなくて、「やるか」「やらないか」なんだ。
できないのは、「やれないから」ではなくて「やらないから」なんだ。
夏休み特別号 Part 1
◆ ◇ ◆
臨時増刊号
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