君たちが、津高校1年1組に所属して、もう半年が過ぎた。
いろんなことがあったのか、なかったのか、ひとりひとりの感じ方が違っていることだろう。
いつもはしゃぎまわってるヤツがいれば、無口なヤツもいる。
頼りがいのあるヤツもいるし、やさしいヤツもいるし、めんどうみのいいヤツもいるし、泣き虫もいる。
みんな、ひとりひとりがこのクラスの構成員であることを自覚して欲しい。
ひとり欠けても、それは1年1組じゃなくなってしまう。
このクラスが大好きなヤツも、このクラスが大嫌いなヤツ(そんなのがいるのかしら?)も、みんなが集まって、1年1組なんだ。
良きにつけ悪しきにつけ、このメンバーで、担任が僕という構成は、もう2度とないんだ。
僕は指揮者でありたいと思う。
ただ、この指揮者は楽団を強くリードしていくタイプじゃない。
団員ひとりひとりが、好き勝手に演奏することを好む。
音をはずしたって気にしなくていい。
不協和音だって和音の一種と考えればいいんだ。
だれかが、きっとカバーしてくれる。
自分がだれかのカバーをすることもある。
それでいいいんだ。
みんな、仲間なんだ。
自分が仲間のひとりであることをみんなひとりひとりが自覚しているのなら、それでいい。
はずれすぎたときは、僕が注意をしよう。
「やれ」と言われたことだけしていれば、失敗も少ないかも知れない。
「やっちゃいけない」ことは、やっぱりやっちゃいけない。
現実には、「やれ」と言われることと「やっちゃいけない」と言われることの間に、たくさんのことがある。
そのたくさんのことの中には、やらない方がいいこともあるけど、自分で判断してどれだけのことを「やる」か。
そこがおいしいところだ。
おいしいところは自分で探さなくちゃ。
「何か、おもしろいことないかなぁ」などと待ってても、おもしろいことなんて起こりゃしない。
何かおもしろいことを自分で探さなきゃ。
クラス担任をすることは楽しい。
今までに何度か担任の経験があるけれど、1年間が過ぎたとき、いっつも思うことがある。
「このメンバーで、もう一度やりたい。もう一度やれたなら、今度の体育祭ではこうできるのに、文化祭ではこうできるのに」と。
でも、それは、決してかなわない。
新しいメンバーで最初からやり直し。
だから、4月には、去年担任したクラスより、今年は少しでも先へ進めるようにがんばろうと思うんだけど、なかなかそううまくはいかなかった。
だけど、1996年の今年は違う。
まだ、半年残ってるんだ。
信じられないくらいだ。
これから先、いろんな問題が生じてくるかも知れないけど、たとえどんな問題が生じても、それを上回るものになる気がする。
感じるんだ。
君たちは、まだまだ自分自身を過小評価している。
もっともっとやれるんだ。
ひとりじゃだめなら、となりを見ろ。
同じことを考えてる仲間がそこにいるはずだ。
自分が想像もできないようなことをやってる仲間がいるはずだ。
いろんなものを吸収しろ。
そうして、ひとりひとりが大きくなってゆけ。
その大きくなったひとりひとりが集まれば、もっと素敵なクラスになる。
もっと素敵な仲間になれる。
みんなが同じレベルになる必要は、全然無い。
昨日の自分より今日の自分が、ほんの少し大きくなっていればいいだけだ。
仲間が何を考えているのか。
どんなことをしているのか。
前に書いてもらった<夏休みの体験>の一部を紹介しよう。
@自転車でブラブラと走りまわるのが趣味で、しんどそうな坂を見ると「一度で登ったる」とか思ったり、帰り道が分からなくなるのがおもしろい・・・そうな。
@自転車にテントを積んで、四国を一周した・・・のもいる。
@高校生クイズに出たけど、三問目でまちがえてしまった・・・のは残念。
@歯医者さんに通い続けて、乳歯を抜いたり、深い虫歯の治療のために麻酔を打ったら気分が悪くなってその日は治療せずに帰ったりとか、悲惨な日々を送った・・・らしい。
@目的もなくのほほんと過ごして、自分の意志の弱さを改めて感じた・・・ことはいいことです。
@夏バテで体重が6Kgも減ったけど、4Kgもどった・・・とか。
@韓国の大学生をホームステイさせてあげて、話をすると、兵役の義務があるから軍隊に入らなくてはいけないとのこと。日本にはないねぇと考えた・・・のは、良い刺激でした。
@甲子園に高校野球を見に行って、海星vs早稲田の試合に感動した。まわりの知らん人と友達になった。フフフ・・・と笑うくらいだから知らん人は異性か?
@中学んときの友達と京都に行って、私の100%を放出!?ちょーハイになって、変なダンスまでやる始末・・・って、いつかおどってもわらねば。
@外国人と交流する機会があったので、自分の英語力を総動員してがんばったけど、力のなさに、ものすごいくやしさを覚えた・・・ことがバネになるのです。
@何でもないのに涙が出たりして、孤独ということを知った。その中で、子供の頃のことを思い出したりもして、いろいろ考えて、私は成長したと思った・・・のは良かった。
@スリランカへ行った。食べ物は、牛肉も魚も野菜も全部カレー。カレーしかない。しかも辛い。辛い辛いと言っているとウエイトレスが、水ではなく砂糖を持ってくる・・・という経験は貴重だ。
@自転車でテントを持たずにキャンプに行った。夜は、でっかい青いビニールのふろしきの中で寝た。雨が降ってきたけど、がんばって耐えた・・・のは大変だったでしょう。
@奈良公園でシカせんべいをやろうとしたら、10頭くらいのシカがダッシュしてきたので、シカせんべいを捨てて逃げた・・・ということは、よくあることです。
@宿題もせずに、本を50冊くらい読んだ・・・のはスゴイ!
@10歳くらいまで住んでいた所に行って、思い出を探した・・・のは、ノスタルジック。
@「洋上教室」へジュニアリーダーとして参加し、子供たちのめんどうをみた。大変だったけど、子供たちからいろいろなことを教えられた・・・と思えるのはいいことです。
その他、「ミスチルのコンサートに行った」とか「北海道に行った」とか「小豆島に行った」とかいうのもあったし、「どこにも行かなかった」とか「毎日ごろごろしてた」とか、「クラブと宿題で終わってしまった」とか「TVゲームに明け暮れた」とかいうのもいくつかあった。それでいいんだ。
何が良くて何が悪いというんじゃないんだ。
どんなことであっても、それが体験なんだ。
無駄と思えることでも構わない。
自分で無駄だと思うなら、違うことをすればいい。
君自身の中に可能性はいっぱいあるし、目の前に何でも転がってる。
行動をするかしないかだけの違いなんだ。
最後に<気の利いた一言>の一部を紹介しよう。
*夏休みは、どこへ行っても人が多い
*質より量の夏休みを
*合宿前は、お風呂を短時間で入る練習を
*部活やけは、くつ下のラインに気をつけよう
*勝ちに不思議な勝ちあり、負けに不思議な負けなし
*虫歯は、ちっちゃいうちに早いとこ歯医者に行っとけ
*ブタもおだてりゃ英語をしゃべる(かも・・・)
*寝ていれば酔わない(乗り物)
*リコンファム(飛行機の予約確認)しなきゃ日本に帰れない
*若さは美しいが、美しさは若さではないのだ。人間、年をとるのは早いぜ。気ぃつけなっ
*あきらめは、かんじんだ
*すべてに挑戦し、ぶつかり、自分を作り、見つけよう
今日から後期です。
夏休み特別号 Part 2
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冬休み特別号
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