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みかんのわ 6号

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流れってなぁに?
 
 中学生の時、親にフォークギターを買ってもらった。
 その時以来、僕はギターを弾いている。

 そのギターは、今も僕の部屋にあるけれど、最近はそのギターを弾いていない。
 
 高校生の時、レコーディングに使用されたりするアメリカのマーチンというメーカーが造っているギターを手に入れることができないものかと考えた。

 値段を調べてみると、何十万円もすることが分かった。

 その中でもstandard(スタンダード:標準)モデルは、D−18だと思えたが、そんなもの買えるはずもなく、個人輸入すれば安くなるだろうかと考えたりもしたが、どうにもならなかった。
 
 その頃から、今度ギターを買うならマーチンにしようと思ってたけど、昨年末、急にマーチンのギターが欲しくなって、東京まで買いに行った。

 ギターショップには、あこがれのD−18の新品が飾ってあった。

 だけど、なぜか心が動かない。
 どうしてだか分からなかったけど、買わずに帰ってきた。
 

 しばらくして、ある日、友人と電話で話していて、彼とはギターの話なんかほとんどしたことないのに、「実は、マーチンのギターが欲しくなってねぇ」と言ってしまった。

 すると、意外にも、「そう言えば、同級生の○○が、ギターを集めとるらしいぞ」という言葉が返ってきた。

 同級生の彼とは、高校卒業以来会ってないけど、連絡をとって会わなくてはと思っていたら、大晦日に、彼と町中でバッタリ出会った。

 「久しぶりやねぇ。覚えとる?」ってことから始まって、当然、ギターの話になった。
 「家に遊びに来い」って彼が言うから、「それじゃ、そのうちに」って別れた。
 
 後日、彼の家に行くと、ギターが部屋にズラッと並べてあった。

 その中にD−18は当然のごとく置いてあった。

 いろんなギターを弾かせてもらって、ギターという楽器は、こんな音がするものだったのかと改めて感動した。
 だって、レコードと同じ音がするんだもの。

 中学生の時に買ってもらったギターは、まるっきり「おもちゃ」じゃないかと思った。
 
 東京までD−18を買いに行ったことを話すと、「買わなくて良かった」と彼が言う。

 なぜなのかと訊くと、「今は、昔の良い材料がなくなったし、職人のウデが落ちているから、マーチンのギターなのにマーチンの音がしない」とのことだった。

 それじゃ、どんなギターがいいのかと訊くと、戦前の物がいいと言う。
 古いギターは、材料が良かったし、職人がしっかりしていたし、40年くらい経つと、板の水分がほどよく減って、やっと良い音が鳴り始めるそうだ。

 信じられないような話だったけど、彼の持っているギターは、本当にスゴイ音がしていたから、彼の言うことを素直に信じた。
 
 僕が、「それじゃ、古いギターを買おうかな」と言うと、「今、いい出物がある」と彼が言う。

 彼は、大阪や名古屋のギターショップの店長をよく知っていて、店長が彼に相談するほど、彼はギターに詳しかった。

 昔のものには偽物があるけど、彼は、偽物か本物かを見抜くことができるのだ。
 製造年が分かれば、どんな装飾で、どんな塗料を使っていたのかが分かる。

 「変な話やけど」と彼が言うには「最後は、板や塗料の匂いで分かる」そうな。


 そんな彼に、ある店長が、アメリカから1953年製造のD−18を輸入したけど、広告に載せる前に、買わないかどうか訊いてきたらしい。

 僕は直感した。
 そのギターは、僕のだと。

 「流れ」は、僕がそのギターを手に入れることになっていると感じたから、借金をしてでも買うべきだと判断した。
 
 手に入れたD−18は、40年以上も経っているというのに、ほとんど傷がなかったし、もちろん良い音で鳴る。
 高校生の時に夢見たことが、20年近く経って実現したわけだ。

 物事には、「流れ」というものがある。
 その時その時において、その「流れ」を感じて行動しなければいけないんだ。
 

 君には、「流れ」を感じる感性があるかな?
 
 

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