スタイルってなぁに?
流れを感じられなくても、流行に敏感なのはたくさんいる。
いや、流行に流されているって言った方がいいかな。
「これがtrendy(トレンディ:最新流行の)なのよ。分かってないわねぇ」って感じで、「アムロ、行きまーす!」ってか?
今ほど手軽に、きれい(?)に染髪できなかった僕の中学時代にも、茶髪にしてるのはいた。
どのようにしたかって?
話によると、オキシドールやらビールやらで脱色できたそうな。
それが本当だったのかどうかは知らないけど、とにかく脱色してるのはいた。
なぜ、髪の色を変えたがるのか。
「真っ黒だと頭が重そうに見えるから」などという理屈は聞きたくない。
たぶん自分自身の存在が希薄になってきたからだろう。
染髪するには、少しばかりの勇気がいるけど、やってしまえば、「しょうがないや」って開き直れるし、自分で自分の頭は見えないから、案外気にならないものなんだ。
で、自分で見えないのをいいことに、自分がカッコイイと思ってるわけだから、いい気なもんだね。
なかには、後戻りできなくなって、つっぱらなくちゃならなくなったのもいるだろうけどね。
僕には、染髪した者の主張が感じられない。
なぜ、茶色なんだ?
黄や青やショッキングピンクだっていいじゃないか。
茶色はカッコよくて、黄色はカッコ悪いかい?
そのカッコよさは、はたして自分で判断してるのかい。
誰かが「カッコイイヨ」と広めたことを知らず知らずに信じてしまって、自分でカッコいいと思っているだけじゃないのか。
そういう連中は、茶髪の次に銀髪がはやると、頭を銀色にするんだろうな。
流行は、誰かがつくっているものなんだ。
だから、それに乗せられていることを分かって行動するのと、自分が決定してるかのような錯覚に陥って、一種のマインドコントロールをされているのとは、大きな違いがあるんだ。
と言う僕も、やっぱり流行を追っていた。
高校生の時は、髪を耳が全部隠れるほど長くして、真ん中から分けていた。
男の長髪というのは、ビートルズが世界中に広めたと言われている。
もちろん、ビートルズが世に出る前から、長髪の男は存在していたわけだが、長髪の男の数が、爆発的に増えた。
「ビートルズは、カッコイイ人気者である。
その人気者は長髪である。
だから、俺も長髪にすれば人気者になれる」
ってんで男が長髪にしたわけだ。
もちろん、「だから」以下はまちがってて、ビートルズがカッコよかったのは、長髪じゃなくて、その音楽性だったことは明らかなんだけど、音楽性でビートルズの真似ができるわけがないから、真似できそうな髪に目をつけるわけだ。
それが、流行となると、髪の長くない男はカッコ悪いと思いこむ女が増えてくるので、男は、いっそう髪を伸ばす。
それと、ズボンは裾の広がっているラッパズボン(フレアー、ベルボトム)が、カッコよかった。
スリムなんて、足が短く見えるだけで、好きこのんで、はくヤツはいなかった。
その中で、友人の一人は、頭をリーゼントにしてスリムズボンをはいていた。
それが、彼のスタイル(やり方、流儀)だったわけだ。
今なら僕もスリムをはくけど、その当時、どうしてもはけなかった。
最近、ラッパズボンをちらほら見かけるけど、あんなにカッコよかったラッパズボンが、今は少々滑稽に思えてしまう。
僕は、休日などにGパンをはいている。
これには、少々こだわりがある。
中学生の時、当時の大人は、みんなスラックスをはいていた。
Gパンをはくことは、若者の特権だったわけだ。
で、その時決心した。
30歳になっても、絶対にGパンをはこうと。
結局、そんなに気負わなくても、30歳になったとき、みんなGパンをはいていた。
僕の母親ですらはいている。
でも、今、僕がGパンをはくのは、それが僕のスタイルだからで、みんながそうしてるからじゃないんだ。
君のその行動は、君のスタイルなのか?