勉強ってなぁに?−その2−
脳の中には、銀河系の星の数に相当する一千億個以上の細胞があって、そのうち大脳には140億個ほどのニューロン(神経細胞)がある。
このニューロンは、生まれたときにすべてそろってて、それ以降増えることはない。
毎日、ただ何百、何千個と孤立したニューロンから死んでいくだけだ。
頭に強い刺激や衝撃等を受ければ、さらに死ぬ。
たとえば、酒を飲んだり、サッカーでヘディングするたびに死んでいくのだ。
でも、そんなに心配しなくていい。
一日に千個死んだとして、一年で36万5千個。
100年たっても、3650万個。
もし、140億円持ってたら、3650万円使っても、余裕でしょ?
それじゃ、脳の発達とは、どういうことかというと、実は、人が何かを経験することによって、ニューロンから、樹状突起といわれるアメーバの足みたいなのが伸びてきて、隣のニューロンとシナプスといわれる器官でくっつく。
つまり、ニューロンの network(ネットワーク:網状のもの)ができあがっていくということなんだ。
初めはできなかった運動が、練習すればできるようになる。
これは、その新しく学習する運動によって、ニューロンから樹状突起が伸びて、その運動用の回路ができあがる。
または、今までにあった回路を、その運動用につなぎかえたりする。
でも、それだけでは、まだまだ動きがぎこちない。
そこで、さらに練習することによって、もっと有効な回路ができあがる。
そうなると、スムーズに動けるようになるわけだ。
自転車に乗るために、誰もが練習をしたはずだ。
そうして自転車に乗れるようになったなら、たとえ10年間自転車に乗らなかったとしても、乗り方を忘れることはないだろう。
動きをマスターするということは、そういうものでありたい。
3日練習を休んだくらいで、ぎこちなくなるようでは、動きが身についたとは言えない。
もっとも、自転車に乗ることと、一般のスポーツとは、運動の質がかなり違うので、一概にそうとは言えないんだけどね。
数学や英語の勉強をすることも、ニューロンのネットワークを作ることになるんだから、どんどん勉強をするべきだ。
今、いろんな回路を作っておかないことには、孤立したニューロンばっかりになってしまって、何の役にも立たない。
英語は好きだから勉強するけど、数学は分からないからやらないなどと、自分で自分の脳細胞に刺激を与えることを拒否していては、どうしようもない。
数学によって刺激を受ける脳の部位と、英語や国語、芸術等によって刺激を受ける部位とは、それぞれが異なっている。
将来、数学の公式を覚えていたからといって、役に立つことは、ほとんどないだろう。
だけど、今、公式を覚えることによってつながったニューロンは、ずっと生き残るのだ。
僕は、不必要なニューロンの回路などないと思ってる。
物事を連想したりするときや記憶をたぐり寄せたりしているときなど、たくさんの回路を探っているんだと思う。
だから、君たちは、あらゆることを勉強しなくてはならない。
大学入試に必要か必要でないかなど、全く関係ないんだ。
常に、自分の脳細胞にどんどん刺激を与えていなければならないんだ。
高校生の時、ある数学の問題をどうしても解きたくて、いつも考えてた。
少しでも時間があると、その問題を考えた。
ふっと気がつくとその問題を考えてるというほどになった。
3日目になっても解けなくて、疲れ切って、もう寝ようとベッドに入って、今まさに眠りに落ちるというその時に、解き方がパッとひらめいた。
すぐに飛び起きて、そのことをノートに記録した。
僕はとっても満足して、またベッドに入って眠った。
あの時、いくつのニューロンがつながったのだろうか。
ところで、君のニューロンの樹状突起は、伸びているのか?
7号 スタイルってなぁに?
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9号 壁ってなぁに?
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