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みかんのわ 9号

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壁ってなぁに?
 
 気がついたら目の前に巨大な壁があって、それでも、この壁の向こうに行かなければならないとしたら、どうする?

 壁のすきまがないか探してみる。
 梯子をかけて登れるところまで登ってみる。
 穴を掘って、もぐっていけないかやってみる。
 たたけば、案外簡単に崩れるかもしれない。

 僕は、自分の能力をフルに使って、考えられることすべてを試すだろう。
 そう簡単にあきらめたくはない。
 見苦しくってもかまわないから、きっと、ジタバタすることだろう。
 

 高校時代、僕は、失敗するということを、今よりもずっと恐れてた。

 若いうちは、どんなに失敗してもやり直せるから、失敗という経験を積むことも大切なことなんだというのは、ずっと後になって分かった。

 だけど、その頃は、失敗をする自分というものに、ビクビクしていたんだ。

 それでも、平然としていたかったから、どうしたかというと、物事に対して、いろんな結果を想像して、それらの事態が生じたとき、どう自分が対処すべきかを考えた。

 だから、事前に考えたことが起これば、冷静に対処できたけど、想像していない突発的なことがらに対しては、即座に判断して行動することができなかった。

 今でも、果たして瞬時に正解(正解がない場合もあるし、正解がいくつもある場合もある。)を見つけることができるかどうかは、あやしいものだ。

 で、高校生の僕にとって失敗してはいけないことのひとつに、大学受験があった。

 浪人してさらに勉強しなくてはならない恐怖があったし、大学生になったら実行しようと考えてた計画が、1年以上遅れることに耐えるのが嫌だった。

 大学受験というのは、大きな壁だった。

 だけど、これは、突然、目の前に現れてくるものじゃなくて、遠くに壁のあることがよく見えていた。

 だから、僕は、自分のペースで、壁に到達したときに壁をヒョイとまたぐことができるように、早くから、緩やかな坂道を登っていった。

 壁があることが分かってて、それを見ないようにしていた友人たちは、壁に激突してから、1年計画で階段を作り始めた。

 どうして彼らは、もっと早くから準備をしないんだろうかと思ったけど、きっと、彼らには彼らの理由があったんだろう。

 でも、あんなにはっきり見えてたことなのにねぇ。
 

 突然、壁が行く手をさえぎることがある。

 多少 expect(イクスペクト:予期する)はできたものの、対処するだけの時間がなかったときなど、ぶつかるしかしょうがない。

 大切なのは、そのあとだ。
 引き返すことができないのなら、突き抜けるために、僕はあらゆる努力をするだろう。


 大学1年生のとき、ある教授が、授業に関係なく突然壁の話を始めた。
 「目の前に壁が現れたらどうしますか?」って感じで。

 その教授が、なぜそんなことを言いだしたのか分からないけど、僕にとっては、結論の出ていることだった。

 だけど、その教授は、僕が考えもしなかったことを言った。

 「どうしようもなくなったら、しばらく待ちましょう。
 そうすれば、壁が突然消えてしまうかも知れませんから」と。

 壁が現れたら、がむしゃらに向かって行くことしか考えてなかった僕にとって、何もせずに待つということなど思いもよらなかった。

 「時間」を味方にするということに全く気づいていなかったんだ。

 時間を味方にすれば、突然現れた壁は、突然消えるかも知れない。
 自分自身が巨大化して、簡単にまたぐことができるようになるかも知れない。
 量子力学のトンネル効果(量子力学において、普通は超えられないエネルギーの山を、トンネルを通ったみたいに、簡単に通り抜けてしまうこと。)みたいに、壁をすり抜けてしまうかも知れない。

 ただ、時間を味方にしたからといって、何の努力もせずにぼーっと待っているだけでは、だめだ。

 そんなことじゃ、壁にドアが現れたとしても、見過ごしてしまうことになりかねない。
 もう手の打ちようがないと思ったとしても、可能性は残っているものだ。
 

 君は、もう、途方に暮れるほどの壁にぶつかったかい?
 
 

  

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